内山真著『睡眠のはなし』【書評】
本記事は、睡眠本書評シリーズの第3回になります。
▼ 第1回
▼ 第2回
「睡眠とは?」
この本も冒頭に「睡眠とは?」との質問に答えるなら、で始まってます。
正解は「現時点ではわからない」とのこと。
正解という表現があまりにもふさわしくない気がしますが。
そして、
なぜ眠くなるのか、レム睡眠とノンレム睡眠、適切な睡眠時間、朝型夜型、午後の眠気、記憶、はたまた健康との関連など
他の睡眠に関する本とよく似た内容を取り扱っています。
レム睡眠とノンレム睡眠
本書でも、哺乳類の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があると記載されています。
睡眠本には書かずにはいられないテーマですね。
実際には鳥類にもノンレム睡眠は見られ、高等動物になるほど、脳が休むノンレム睡眠が見られるようです。
そして、人間の一晩の睡眠の約80%がノンレム睡眠だとのこと。
本書では、この2つの睡眠がある意味について推測されています。
もともと身体を休めるための睡眠であったレム睡眠があり、この睡眠状態では脳を休ませる機能はなかったようです。爬虫類の睡眠はほとんどが筋肉を休めるための睡眠であり、つまりレム睡眠とよく似た状態だとのこと。
高等動物になり大脳が発達してくるにしたがって、脳を休ませる仕組みが必要となり、レム睡眠とは異なる状態のノンレム睡眠が発達したとされていて、身体が休むレム睡眠のときは脳は目覚めていて、脳が休むノンレム睡眠の時には、筋肉は完全に休まないというシステムは、眠っている時の無防備な時間を最小限にする利点があったのではないかと考えられるとのこと。
▼ こちらのサイトにも同じことが書かれています。
本書では、筋肉を休めるという記載がありますが、筋肉を休めるには使わなければいいだけで寝る必要などないんじゃないかと思うところではあります。
興味深いのは、アルコールを多く飲むと、ノンレム睡眠が増加し、レム睡眠は減少するとのこと。
よくアルコールを飲むと、睡眠の質が悪いという話は聞き、確かに飲みすぎた翌朝は、すっきりしないですよね。ノンレム睡眠とレム睡眠の両方がないと睡眠の質が悪くなるということですね。
寝る子は育つか?
子供には早く寝るように言うために、寝る子は育つということわざ? があります。
お肌のゴールデンタイムは、成長ホルモンが多く分泌される22時〜2時の間ということもよくテレビ等で聞きます。
本書で、徹夜をして朝から眠った場合でも、眠りの初めに深い睡眠が現れて、こうした時間帯でも成長ホルモンは増加すると記載されています。
結局、成長ホルモンが1日に作られる量はおよそ同じとのことで、子供のしつけと科学は分けておくべきだと著者は説いていて、この説明には好感が持てます。
適切な睡眠時間
本書では、睡眠時間は短すぎるのも長すぎるのも健康に良くないようであり、6時間台あるいは7時間台という、ほどほどの睡眠時間が最も健康であり、普通が一番ということでなんとなくホッとすると述べています。
睡眠時間は人それぞれで、日中の眠気で困らなければ十分とまとめています。
睡眠について、様々な説明はありますが、このようにまとめていただくと、スッキリしません。
本書を読んで
本書でも「睡眠とは?」の答えは、またも「わからない」という結論です。
引き続き、睡眠に関する本を読んでみます。