『デッドライン仕事術』吉越浩一郎【書評】ワーカホリックの後悔。後悔しない人生を生きよう。
デッドライン仕事術
本書の著者は、がんばるタイムなどのユニークな取り組みでも有名な「トリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)」で代表取締役を務められていた吉越浩一郎氏。
僕の職場は、残業しなければいけないという思い込みに支配されている。
組織としてそういう態勢になっている。
こういった職場は、いたるところにあるでしょう。
それを改善したくて、いやまずは自分自身を改善したくて、本書を手に取りました。
この本で著者が言いたいことは、「はじめに」で書かれている。
デッドライン仕事術の2つのポイント
① 毎日、「お尻の時間」を決めて仕事をする(だらだら残業禁止)
② すべての仕事に「締切日」を入れる
そして、本書の中で
これができない理由と実践するノウハウが書かれている。
仕事のアウトプットは、能力✖️時間✖️効率
著者は
多くの人が自分の仕事は効率が悪いということを自覚していないというより
「効率」という概念自体を持っていないのではないか
と指摘します。
効率が大事だといいつつ
残業することが当たり前という意識で過ごしている。
定時で帰る気がまったくないから無駄なこと、必要のないことをたくさんしている。
無駄話や愚痴、不満の言い合いはその最たるものだ。
能力を急に向上させることはできないから、時間を増やして成果を上げようとする。
ここで、時間(残業)を増やさずに成果を出そうとすれば、効率を上げるしかなくなる。
著者は
「時間」を固定すれば「効率」は必然的に上がる
と説きます。
日々の仕事のデットラインを決める。
なるべく効率を上げて早く帰ろう
→ 今日は予定外の仕事が入ったから残業してもしょうがない。
結局は毎日がそのくり返しになって、残業はなくならない
残業しないという意識、意思がなければ、いつまでたっても残業してしまうということ。
残業が当たり前の職場で、残業を減らしたいと思うなら
残業をしない!と決めて
勇気をもって「お先に失礼します!」
というしかないのだ。
すべての仕事に「締切日」を入れる
僕は仕事もプライベートも大事なことは
todoistというタスク管理アプリで管理していますが
締切日を入れていないタスクがたくさんあります。
いつでもいいから締切を設定していないわけだけど
しっかりと締切を決めるのが、タスク管理、GTDの基本ですよね。
著者は、デッドラインの基本は「明日」。
ドンドン前倒しにすることを推奨している。
仕事は発生した瞬間に取り組むことで、一番、効率が上がる。
これは言われてみれば確かにその通りだ。
時間が経つと、ひどいときには思い出す作業が必要になってくる。
賞味期限は短いのだ。
なぜ、残業してしまうのか?
僕は、大きく2種類の人がいると思う。
①そもそも帰る気のない人
このタイプの人は、残業することが当たり前、残業はしなければならないと思っている。
理由はいろいろあるだろうけど、要はワーカホリックということ。
僕はずっとこう思っていました。
仕事を任せてもらいたい、任せてもらえることがうれしくて、成果を認めてもらいたくて
仕事をしていました。
このように思っていると、仕事を増やそう、増やそうとしてしまい、
自分の使える時間をできる限り仕事に費やそうとしてしまいました。
②帰れるのに周りに合わせてしまう人
仕事のできない人間ほど、「いい人」を演じる。
「仕事ができない」という欠点をカバーするために
『いい人」という人間性をアピールする。
と著者は言います。
これは、やってはいけないことですよね。
でも、もし自分がみんなが残業している職場で、仕事を任せてもらえていないとしたら、と考えると気持ちはわかります。
営業職であれば成績を上げなければいけないから、成績を上げるためにしようと思えば残業はいくらでもできますよね。
ワークライフバランスが崩れた人の後悔
本書では、ワークライフバランスの大切さについてわかりやすく書かれています。
最近になってようやく僕も、この重要性がわかってきました。
『7つの習慣』の第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」
終わりとは、究極的には死ぬときです。
7つの習慣ではこのような記載があります。
死の床で自分の人生を振り返ったとき、
もっと多くの時間をオフィスで過ごせばよかった、
あるいはテレビをもっと見ればよかった
と悔やむ人は、果たしてどれくらいいるのだろうか。
答えは簡単だ。一人としているわけがない。
死の床にあって思うのは、家族や愛する者のことである。
人は誰かのために生き、最期はその人たちのことを思うのだ。
人が死ぬ前に後悔すること
終末期ケアに携わり、たくさんの亡くなる前の患者と数週間をともに過ごしたオーストラリア人看護師のブロニー・ウェア氏によると、ほとんどの人は死の間際に人生を振り返り「後悔や反省」の言葉を残すという。
彼女はその時に聞いた患者たちの言葉を、著書『The Top Five Regrets of the Dying(死ぬ瞬間の5つの後悔)』に書いている。
1 自分に正直な人生を生きればよかった
2 働きすぎなければよかった
3 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
4 友人と連絡をとりつづければよかった
5 もっと幸せを求めればよかった
世界中の多くの人が同じ過ちを犯し、人生の最後で後悔しているということ。
働きすぎなければよかった
こう思って後悔する日本人の割合は、おそらく世界でも高いでしょう。
もちろん、適当に仕事をして、私生活を充実させるという話ではない。
仕事時間を減らした上で、アウトプット(成果)を増やす。
短期的な見返りを求めたり、他人軸で生きることをやめなければいけない。
死ぬ前に後悔することと天秤にかけられるようなことではない。
多くの先人が教えてくれている。
がんばるタイムは、職場で自分一人で取り組むにはハードルが高いけど
ノー残業デーは、一人でもすぐに始められる。
まずは自分から始めてみよう。