レイ・メディス著『睡眠革命』【書評】
混乱した本
この本は、1984年出版の古い本だ。
どうぶつ社
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前回読んだ、『ヒトはなぜ眠るのか』の著者である井上昌次郎氏が訳した本だ。
『ヒトはなぜ眠るのか』において本書から多数引用されていて、興味が湧いて読んでみた。
最後に訳者の感想として、「この本は大変面白い。日本人も読むに値する本だと思う」と紹介している。
本書は、睡眠研究において、挑戦的、非常識、過激だったようである。
しかし、結論を言うと僕自身本書を読んで混乱してしまった。
井上 昌次郎 著『ヒトはなぜ眠るのか』においても、「鳥類や哺乳類のように大脳が大きく発達するに従い、レム睡眠のままでは欠陥技術になり、新たにノンレム睡眠という技術が開発された」という記載がある。
にもかかわらず、本書『睡眠革命』では、「レム睡眠は哺乳類と鳥類の特殊な要件に応えて進化したらしい」と記載されている。
動睡眠(AS)・静睡眠(QS)
今日、一般的にレム睡眠とノンレム睡眠という2種類の睡眠の名称が使われている。
しかし、本書では、動睡眠(AS)・静睡眠(QS)という名称が生まれて普及しているので、これを使うことにするとある。
動睡眠(AS)は、これまでレム睡眠と呼んでいた現象を指し、静睡眠(QS)は、旧用語ノンレム睡眠に置き換わるとのこと。
でも、今この用語は一般的に使われていないので、普及しなかったということなんだろう。
動睡眠(AS)・静睡眠(QS)という用語は、赤ちゃんの睡眠において使われる。
本書に「動睡眠(AS)は睡眠の新参者だが、静睡眠(QS)またはその原型は太古の昔からおつきあいがあった、と一般に信じられている」とある。
これは、上述したように、本書の訳者が自著でも書いていることと完全に逆だ。
???
そして、一般的に信じられているモデルに対し、著者は「私たちの動睡眠(AS)(=レム睡眠)は、爬虫類の睡眠の修正版であるのに対し、静睡眠(QS)(=ノンレム睡眠)が新しい」という異端説を本書で唱えている。
ということは、著者が本書でこれまでの説を覆したということか?
それまでの天動説に対し、地動説を唱えたということか?
それなら、もっと著者も本書も有名であってしかるべきだと思うのだが。
まとめ
本書を読んでの教訓は、こういう研究本は古いのを読んではダメだということだ。
そもそも、僕が睡眠本を読み始めたのは、QOLを上げるためだ。
だいぶ目的から逸れた本を読んでしまった。
QOLを上げてくれそうな睡眠に関する本も次々に新書が出ている。
次は、新書を読もう。
▼ 次はこの辺りか。